日本代表がワールドカップ(W杯)の初戦で対戦したのは、準優勝2回を誇る「レ・ブル」ことフランス代表だ。「シャンパンラグビー」「フレンチフレア」と称されるフランスラグビーの中心でゲームをコントロールするのは、フランス代表として初のアジア系の選手となったフランソワ・トラン=デュクだ。
前回のW杯が終わった後、マーク・リエーブルモン監督に21歳ながら抜擢され、2010年にはシックスネーションズ(6カ国対抗)のグランドスラム(全勝優勝)にも貢献した判断力に優れた選手。初優勝を狙うフランス代表の若き司令塔にW杯、そして日本に対する印象などを聞いた。
日本のバックスのスピードを警戒している
――W杯の初戦で日本と戦います。
トラン=デュク(以下TD) W杯のような大きな大会で日本と戦うのだから、非常に喜ばしいことだし、最高の試合となるよう準備するのは当然のこと。それにこの試合に勝つことで、次へ向けて自信が持てるわけだからね。
――フランス代表は2007年のW杯では初戦でアルゼンチンに敗れています。苦手意識があるのでは?
TD 確かにね。初戦はいつも簡単ではないんだ。だってどこもW杯に向けて準備してくるわけだし、特に初戦には集中してくるからね。それにプレッシャーもある。前回は自国開催だったし、国民のフランス代表に対する期待が高かった。とにかく初戦は今後のトーナメントで自信をつけていくためにも非常に重要。だからW杯の初戦はデリケートなものなんだ。
――日本のラグビーについてどういった印象をもっていますか?
TD すごく良いチームだし、欧州でプレーしている選手もいたはずだよね。また日本はW杯にずっと出場しているので、戦うことにも慣れている。特にバックスの選手はスピードがあって、それはフランス代表が警戒しなければならないところだね。
――日本人代表で知っている選手はいますか?
TD 「ワタサン」だったかな? えーと、はっきりしないんだけど、もう引退しているかも……。たしか、そうバイヨンヌにいた……。
――かつてフランスリーグで活躍した村田亙さんですね。今は日本代表のセブンズ(7人制)の監督をしています。
TD そうなんだ。セブンズの監督をしているんだね。
――日本は来たことありますか?
TD まだないよ。ただ昨年の夏にはカンボジアやラオス、香港には行ったよ。フランスラグビーの「こどもの笑顔のために」というチャリティプロジェクトのためだったんだ。とにかくW杯というラグビーにとって最も大きな大会で、日本のようなアジアのすばらしいチームと対戦することができれば僕にとって本当に嬉しいことだよ。